青春ミステリの名作『ゴースト≠ノイズ(リダクション)』十市社

青春ミステリの名作『ゴースト≠ノイズ(リダクション)』十市社

高校入学七ヶ月目のある日。些細な失敗のためクラスメイトから疎外され、“幽霊”と呼ばれているぼくは、席替えで初めて存在を意識した同級生にいきなり話しかけられた。「まだ、お礼を言ってもらってない気がする」―やがてぼくらは誰もいない図書室で、言葉を交わすようになる。一方、校舎の周辺では小動物の死骸が続けて発見され…。心を深く揺さぶる青春ミステリの傑作。

「BOOK」データベースより
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タイトルについて

一瞬「えっ?」ってなりますよね。

何と言いますか、記号が使用されている珍しいタイトルです。

「≠=ノットイコール」と読むならば、「ゴーストノットイコールノイズ(リダクション)」でしょうか。

そして「リダクション」もあまり聞き覚えのない英語で更に混乱してしまいます。


装丁・表紙について

教室のイラストで少女(ともう一人)が佇んでします。

彼女はおそらく主人公・一居士架(いちじこじかける)の同級生である玖波高町(くばたかまち)だと思われます。

最近は表紙がイラストの作品が多いですが、本作も比較的ライトな作品ですので、その雰囲気にはあっているかと思います。


ストーリーや私的思い入れ

まずは本作の特異性を説明しておくと、「Kindleダイレクト・パブリッシング(KDP)」というサービスを利用し、電子書籍として個人で出版した作品となっています。

そして東京創元社の担当者の目に止まり、書籍として出版されたということだそうです。

作家には今やいろいろなデビューの仕方がありますが、本作が発表された2013年ではまだ珍しかったのかもしれませんね。

ストーリーに目を向けると、綾辻行人の『Another』を彷彿とさせる、クラスの中で幽霊扱い(無視)されている架とそのクラスメート高町を中心として進行します。

こういった展開の場合、ミステリを読み慣れている方でしたらいろいろと疑ってかかってしまうのが心情ですよね。

当然、終盤には「ある秘密」が明かされるわけですが、それが思いのほか練られていて驚かされました。

「ミスリード」という言葉がありますが、まんまと著者の手に引かれるままに誤った道を歩かせられていることに気づいた際には、もう後の祭りですね。

ミステリは古来より人ならざる者がたびたび登場しますが、先述の『Another』しかり2019年に発刊され話題となった相沢沙呼の『medium 霊媒探偵城塚翡翠』しかり、まだまだ「幽霊」の使いどころはバリエーションがありそうです。

本作はあまり世間には知られていない作品だと思いますが、青春ミステリの名作と言って間違いありません。