語り部が語るは儚い魔物たちの物語『煌夜祭』多崎礼
生物も住めぬ死の海に浮かぶ十八諸島。“語り部”たちが島々を巡り集めた物語を語り明かすため、年に一度、冬至の晩に開かれる煌夜祭。今年もまた、“語り部”が語り始める。人を喰らう恐ろしくも美しい魔物の物語を。夜が更けるにつれ、物語は秘められた闇へ…。第2回C・NOVELS大賞受賞作に書き下ろし短篇「遍歴」を収録。
「BOOK」データベースより
タイトルについて
『煌夜祭』ってめっちゃカッコイイですよね!?
だって「煌めく・夜の・祭り」ですよ!
一撃でタイトルにやられました。
ちなみに「後夜祭」ではないのでご注意を(何に?)。
煌夜祭とは作中で登場する架空のイベントで、語り部たちが夜通し物語を語り明かすというものです。
作品タイトルにして、重要なキーワードですね。
装丁・表紙について
ファンタジー感満載の表紙ですね。
海が広がっている中、島が点在しています。
そして中央には飛行船のようなものが…。
これらが本作の世界観を如実に表しているんですよ。
タイトルも相まって、手に取った読者をワクワクさせ、ファンタジーの世界観に引き込む力を持っています!
ストーリーや私的思い入れ
極上のファンタジー小説と言っても過言ではありません。
まず、作中作のような形式で語り部であるナイティンゲイルとトーテンコフらが物語を語ります。
世界は恒星のように循環する18の島々が舞台です。
そしてそれらはいずれも、儚い不死の魔物たちが登場する物語なのです。
それぞれの物語は短編のような形式になっているのですが、物語同士は繋がりがあるんですねー。
いわゆる連作形式ですな。
それぞれの物語単体でも魅力的で、非常にドキドキワクワクできるファンタジーです。
そして読み進めて行くと、
「あれ?何か聞いたことのある固有名詞が出てきたぞ…。」
と思う箇所も登場するでしょう。
実はちょっとしたミステリ要素もあります。
ですが、それはおまけ程度。
童心に帰ったようにファンタジーを愉しむのが本作の召し上がり方。
あとは読んでのお楽しみ…。
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