傑作異文化ミステリ!『叫びと祈り』梓崎優

傑作異文化ミステリ!『叫びと祈り』梓崎優

砂漠を行くキャラバンを襲った連続殺人、スペインの風車の丘で繰り広げられる推理合戦…ひとりの青年が世界各国で遭遇する、数々の異様な謎。選考委員を驚嘆させた第5回ミステリーズ!新人賞受賞作を巻頭に据え、美しいラストまで突き進む驚異の連作推理。各種年末ミステリ・ランキングの上位を席捲、本屋大賞にノミネートされるなど破格の評価を受けた大型新人のデビュー作。

「BOOK」データベースより
Advertisement

タイトルについて

『叫びと祈り』とタイトルはシンプルですが、「叫び」と「祈り」は結構間逆なイメージがありますよね。

「叫び」を動とするなれば、「祈り」は静と言うか…。

本作は短編集ですが、この「叫び」・「祈り」はそれぞれ短編のタイトルと一致しています。

そして、初っ端を飾る作品のタイトルが『砂漠を走る船の道』です。

何だか幻想的なイメージが湧いてきそうですが、「砂漠を走る船」とは何のことかはまた後述…。


装丁・表紙について

どこか異国の風景ですかね。

それもそのはず、本作は異文化ミステリとも言える、日本ではない異国の地で起こる事件を題材としています。

帯にも書かれているとおり、本作はデビュー作ながら高評価を得て数多くのミステリランキングでトップ10に選出されています。

また、『砂漠を走る船の道』は第5回ミステリーズ!新人賞を受賞しています。

新人ながらこの評価は素晴らしいですよね。

まさに「大型新人」なり!


ストーリーや私的思い入れ

傑作ですね。

デビュー作とはニワカには信じられません。

それぞれの短編の完成度が極めて高いと感じました。

『砂漠を走る船の道』なんかは、目の付けどころが本当に良いなって思います。

『砂漠を―』は日本からは遠い異国、サハラ砂漠でのとある事件について語られます。

ちなみに「砂漠を走る船」とは「砂漠の船」と呼ばれるラクダのことですね。

主人公の斉木が同行したキャラバン内で連続殺人事件が発生するのですが、閉塞状況で登場人物も少ないという状況です。

フーダニットに仕立て上げるには難易度が高いと思われるのですが、それを見事に果たして見せています。

その他の短編も非常に面白い。

国々の文化を上手くミステリに取り入れているんですよね。

ちなみに著者の梓崎優は本作と次作『リバーサイド・チルドレン』を出版して以来、作品を発表していません。

理由なんかは調べてないのでわかりませんが、もったいなやー。

どうやら未発表作品はあるのかな?

ファンの方たちの首がラクダより伸びてキリンほどにならないうちに、次作の情報が発表されると良いですよね。

まったく文学界の損失ですよ…。