キヨコの想いに胸が締め付けられる『私を知らないで』白河三兎

キヨコの想いに胸が締め付けられる『私を知らないで』白河三兎

中2の夏の終わり、転校生の「僕」は不思議な少女と出会った。誰よりも美しい彼女は、なぜか「キヨコ」と呼ばれてクラス中から無視されている。「僕」はキヨコの存在が気になり、あとを尾行するが…。少年時代のひたむきな想いと、ままならない「僕」の現在。そして、向日葵のように強くしなやかな少女が、心に抱えた秘密とは―。メフィスト賞受賞の著者による書き下ろし。心に刺さる、青春の物語。

「BOOK」データベースより
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タイトルについて

何やら不穏なタイトルですよね。

「私に関わらないで」とか「私の側に来ないで」なら拒否する姿勢がありありと感じられるのですが、「私を知らないで」ですからね。

何と言うか「関わってもいいけど深入りすんなよ…。」という感情なのかもしれませんね。


装丁・表紙について

装丁に描かれているイラストの少女は、登場人物のキヨコですね。

そしてキヨコが縋っている向日葵ですが、これがストーリーの特に終盤でのキーアイテムとなります。

意味深なタイトルと橙色をバックとした表紙が、手に取った読者にも強いインスピレーションを与えるのでしょう。


ストーリーや私的思い入れ

著者の白河三兎も本作自体も、実はそこまでメジャーではありませんが、白河三兎はメフィスト賞を受賞した経歴があります。

メフィスト賞は個人的に「ウラの新人賞」と位置づけています。

本作も一筋縄ではいかない感じがひしひしと感じられますね。

本作はミステリと言うよりはサスペンス系や、ある意味では日常系に近いと思っています。

いや、ラブストーリーなのかな?

ただ、キヨコは序盤では村八分ならぬクラス八分を受けているのですが、現実でこのようなことが日常的にあったら困りますが…。

そしてキヨコのことが気になる主人公の黒田慎平が、またちょっとスレていてもどかしいんですよね。

キヨコもキヨコで、慎平のことが気になっているのに、
「だから黒田慎平は嫌い。」
なんて言っちゃいますしね。

キュンキュンとはちょっと違うかもしれませんが、不器用な恋愛とこの先どうなるんだろうというハラハラドキドキ感を味わいたいのなら、絶対におすすめできる一冊です。

必ずや慎平とキヨコの関係、そしてキヨコが「知らないで」と願う想いと隠された真実に胸が締め付けられると思います。