ぶっ飛びエンタメ作家のデビュー作『煙か土か食い物』舞城王太郎
腕利きの救命外科医・奈津川四郎に凶報が届く。連続主婦殴打生き埋め事件の被害者におふくろが?ヘイヘイヘイ、復讐は俺に任せろマザファッカー!故郷に戻った四郎を待つ血と暴力に彩られた凄絶なドラマ。破格の物語世界とスピード感あふれる文体で著者が衝撃デビューを飾った第19回メフィスト賞受賞作。
「BOOK」データベースより
タイトルについて
なんだかぼんやりしているタイトルだなぁと思ったのが第一印象です。
他の舞城王太郎の作品を知っていると、えらく普通なタイトルをデビュー作として選んだものだと感じるかもしれませんね。
何せ『九十九十九』、『好き好き大好き超愛してる。』や『ビッチマグネット』といったぶっ飛んだタイトルが舞城王太郎のセンスなのですから…。
装丁・表紙について
一見するとホラー小説のような表紙をしていますね。
まぁある意味では本作はホラーなのかもしれませんが、少々おどろおどろしい感じの表紙、嫌いじゃありません。
本作以降の表紙はけっこうカラフルであったり、キャラクターイメージのイラストが描かれていたりと、毛色が変わってくるのが印象的です。
ストーリーや私的思い入れ
まず舞城王太郎を知らない方に、舞城王太郎について簡単に説明しましょう。
覆面作家である舞城王太郎は本作『煙か土か食い物』で第19回メフィスト賞を受賞しデビューしました。
その後、独特の世界観を持つ作品を世に送り出し続け、2003年に『阿修羅ガール』で第16回三島由紀夫賞、2009年に『好き好き大好き超愛してる。』で第2回大学読書人大賞を受賞するなど、文学界でも評価が高いエンタメ作家です。
ですが、その世界観について行けない方にとって、舞城王太郎の作品はただの壁本となってしまいます。
私は本作で初めて舞城作品を読んだ次第ですが、冒頭から結末まで圧倒されっぱなしでした。
メフィスト賞受賞という事前情報により多少は覚悟していたにも関わらず…。
その筆力とイマジネーションは類稀なる才能でしょう。
とりあえず本作は「サスペンス」と位置づけましたが、実際はサスペンスではないと思っています。
とは言え、ミステリや恋愛とも違いますね。
これはもう「ジャンルは舞城王太郎」と言ってしまっても良いのでしょうか。
本作の簡単なあらすじでも紹介しようかと思ったのですが、私の文章力では魅力が伝わらないと思いますので、気になる方は書籍を購入して頂くか、他の方が書かれたあらすじをご覧ください(笑)。
でも、ハマったら間違いなく引き返せませんのでご注意を!
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