「つめたい」って性格が?それとも?『つめたい転校生』北山猛邦
何もかも理想通りで、身悶えするほどキュートな彼。あるとき彼が殺し屋なんじゃないかと不安になり…(「かわいい狙撃手」)。ある初冬の日、クラスメイトが見守る倉庫から、転校生が忽然と消えた。彼女は幽霊?(「つめたい転校生」)。寂しい少年時代に出会ったたったひとりの友達は、人を殺す妖怪?(「いとしいくねくね」)など、人と人でないものとの切ない恋をめぐる、驚きのトリックが冴えるミステリー短編集。
「BOOK」データベースより
タイトルについて
作品タイトル『つめたい転校生』は短編のうちのひとつのタイトルからですね。
ちなみに本作は改題されたらしく、もともともは『人外境ロマンス』でした。
記事を書くために調べて初めて知ったという…。
他にも『かわいい狙撃手』、『つめたい転校生』、『うるさい双子』、『いとしいくねくね』、『はかない薔薇』、『ちいさいピアニスト』と全6篇。
タイトルが「形容詞+名詞」形式となっていて、何となく可愛らしい印象を受けますね。
コレそれぞれのタイトル初見のときに、「くねくね」ってあの「くねくね」!?
ってなりましたね。
何となく子どもの頃から怖いんですよね、くねくねって。
装丁・表紙について
正直、この装丁を見たときに思ったのが、
「あ、北山猛邦っぽい。」
でした。
北山猛邦の文庫本って、だいたいこんな感じの可愛らしいイラストなんですよね。
タイトルも装丁も可愛らしいので、個人的にはすごく好きです。
コテコテの萌え絵ではなく、少年少女のイラストが多いんですよ。
作品ともマッチしていて、装丁ファンとしては抑えておきたい作家ですよね。
ストーリーや私的思い入れ
全編においてSF+恋愛+ミステリとなっています。
さっきからコレしか言っていないですが、北山猛邦っぽい!
ただし恋愛と言っても、「つめたい」人とね…。
何がつめたいのかは、きっとわかりますよね、くねくねだし…。
デビュー作はメフィスト賞を受賞するなど、もう少しロジカルな印象が強かったのですけど、こういうのもGOOD!
でも本作はミステリ要素はちょい少なめ。
個人的に本作でNo.1は『はかない薔薇』。
実は単行本では、表紙は女の子ではなく薔薇が描かれていたんですよね。
そっちも嫌いじゃないです。
薔薇とコミュニケーションを図って殺人事件を解決するというストーリーですが、SF+恋愛+ミステリの体を最も成していると感じました。
本作が気に入ったならば、少年検閲官シリーズや『私たちが星座を盗んだ理由』あたりはハマると思います。
比較的ライトなミステリを楽しみたいのであれば、うってつけの作家ですね。
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